〜口の悪いサンタ 2〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№307 )
クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜
RyuGaの絵の無い絵本 第2話
2階に上がるとその部屋はすぐにわかりました。
淡いブルーに塗られた扉がとても可愛くて、さすがに口の悪いサンタも少し微笑んでしまうくらいでしたから。
「さて、と。
ここからが1番用心しなくちゃいけねぇ。」
口の悪いサンタは中をうかがうように、静かにそっと扉を開けました。
そして、プレゼントを抱えて中に入ります。
扉のすぐ近くにツリーが飾ってありました。
さて、そのツリーの下にプレゼントをそっと、そっと・・気づかれないように、そっと・・・・。
「・・・サ・ン・タ・・さん・・?」
部屋の奥、小さなキャンドルの灯る窓の方から、小さな可愛い声が聞こえました。
「‼︎‼︎‼︎‼︎ ・・・・あ・・・・・?」
プレゼントを、置こうとしていた口の悪いサンタは、訝しげに訊ねる可愛い声の方に目を向けました。
夜の蒼さが窓から入り込み、ベッドを照らしています。
そのベッドに小さな影がチョコンと座って、口の悪いサンタを見つめているようです。
「・・・サンタ・・さん、なの?」
小さな影の座るベッドの隣には小さな机があり、その上にこれも小さなキャンドルが小さな灯りを灯しています。
その小さな灯りに照らされて、影はどうやら男の子だと知る事が出来ました。
口の悪いサンタが空から見た灯りは、どうやらこの男の子が灯していたキャンドルだったようです。
「・・チッ・・俺様とした事が・・見つかっちまったか・・。」
そして口の悪いサンタは言いました。
「おお!そうよ!
俺様が正真正銘のサンタクロースよ!
ボウズがいい子にしてたからよ、プレゼント運んで来てやったんだ。
ま、感謝して受け取るんだな!」
ベッドの上の幼い影はビクンと驚いたような様子を見せ、そして言いました。
「サンタさんだ!本物のサンタさんなんだ!
本当に僕の所に来てくれたんだね!」
男の子の影は続けて言いました。
「・・ね、サンタさん。
お願いきいてくれる?」
口の悪いサンタは言いました。
「あん?
オメェの願いをきいてやったから、こうしてわざわざプレゼントを運んでだな・・」
「違うの。
今なの。
今、サンタさんのお顔が見たいの。
お願い、僕のところに来てお顔みせて。」
「そんなのオメェがこっち来りゃいいじゃねぇか!
何で俺様からボウズに顔見せに行かなきゃならねーんだよ!」
どこまでも偉そうな口の悪いサンタです。
「・・・ごめんなさい・・。
でも、僕、あんまり動けないんだ。
うまくそっちに行けないんだ。
・・・だから・・・・・・ごめんなさい・・」
可愛い声はだんだん小さくなってしまいました。
「・・・何だよ、動けねぇって・・。
ま、いいや!
どうせ見つかっちまったんだからな。
今、そっち行ってやらぁ。」
見つかってしまった口の悪いサンタは、もう大威張りでノシノシと、男の子に近づきました。
キャンドルの灯りに照らされた男の子はまだ小さくてとても華奢な体つきをしていました。
そして少しはだけたパジャマの左の胸元からは薄赤いハート型が見えていました。
「なんだボウズ、その胸の赤いやつは?
なんか描いたのか?まじないか?」
遠慮のないサンタの質問に、男の子は慌てて言いました。
「違うよ!
これは産まれた時からついてるんだ。
・・・アザだってママが言ってた・・・。」
「ほう、そうかい。
そいつぁ、失礼したな。
でも・・ま、キレイなハートだ。
うん、キレイなアザだ。」
「でしょ!
ちょうど僕の心臓の上なんだって。
だから僕は恵まれているんだってパパが言ってたんだけど・・・だけど・・・。」
男の子が話している間にすぐそばに近づいた口の悪いサンタは、男の子の顔の前にヌッと自分の顔を突き出して言いました。
「ほらよ!これが俺様だ。よぉ〜く見ておきな。
正真正銘のサンタクロースの顔だぜ!」
「・・本当だ・・
白いお髭もホントにあるんだね!」
「おぅよ!
触ってもいいんだぜ、特別に許してやらぁ。」
To Be Continued・・・・
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