〜口の悪いサンタ 7 〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№312 )
クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜
RyuGaの絵の無い絵本 第7話
自分の家に戻った口の悪いサンタ。
もう、部屋でワインを飲んでいます。
「参ったぜ・・。
神公のヤロウ、俺の寿命半分寄こせと来やがった。
・・あのガキを可哀想だと思わねぇ事はねぇ・・
けど、俺がそこまでする義理はねぇや。
・・気にならねぇ事も・・ねぇが・・
・・・ま、医者ってやつがいるんだから、何とかするだろう。」
そう言って、大イビキをかきながら眠ってしまいました。
さてサンタの仕事ですが、クリスマスイブにプレゼントを配り終えると、そこからもう来年のクリスマスに向けての仕事が始まります。
全世界から子供達のお礼のお手紙が届きますし、気の早い子供達からは夏の頃には次のプレゼントのお願いがサンタの元に届くからなのです。
サンタはそれを全て整理して、リストを作り、正しく望まれているプレゼントかどうかを判断するのです。
変更があった時はもちろん同じようにしなければなりません。
そして、そのリストを神様に届けるのです。
サンタはクリスマスイブの夜にだけ働くのではなくて、本当はとても忙しい仕事をしているのですよ。
口の悪いサンタも、怠け者ではありますがそれなりに忙しく、まぁ何とか仕事をしていました。
やがて雪が溶け、地上と同じように天の国にも花が咲き、草木が芽吹く春がやってきました。
「今日も結構お願いの手紙ってのがたくさん届いたなぁ。
あ〜ぁ、忙しくっていけねぇや。
ん?何だ・・可愛いパジャマが欲しいってか・・。
そういや、あのボウズのプレゼントも可愛いパジャマだったな・・。
ボウズ・・元気にしてるかな・・・。」
あれだけ神様に逆らった口の悪いサンタですが、あの男の子の事は、どこか気になっているようです。
そして、口の悪いサンタの思いもそのままに、あっという間に季節は巡り暑い夏が過ぎ、枯葉の舞う秋も深まってきました。
後、もうちょっとで白い冬がやってきます。
口の悪いサンタは最近少し元気がありません。
「神公のやろう・・あれから何にも言いやがらねぇ・・。
ボウズもお願いの手紙くらいよこせばいいのによ・・・。
そうすりゃ、神公だって少しは考えてくれるだろうに・・・・・。
これじゃ俺様の立場ってもんがねぇだろ・・・」
そこで口の悪いサンタは、ハッと考えつきました。
「・・そうか・・あのボウズ、病気が治ったんだな!
医者ってやつに治して貰ったんで、神公も何も言わねぇし、ボウズもお願いの手紙を書かなかったって訳だ!
神公のヤロウ、俺の寿命半分なんて言いやがって、
ザマミヤガレ!
言う言葉が無いもんで何も言えなかったんだ。
そりゃぁ1年も経つと病気だってさすがに治るわなぁ。
そうか、そういうことか!」
独り合点をした口の悪いサンタ。
今度はクリスマスが待ち遠しくなりました。
「よし!
今年のクリスマスイブの晩には、とりあえずボウズの顔を見に行ってやるか!
治ったって手紙くらい書けって文句も言いてぇしな!」
口の悪いサンタは文句と一緒に「どうだ!俺様が神様にお願いしてやったからなんだぞ!」と思い切り男の子に自慢してやろうと思ったのです。
秋の枯葉が雪に変わり、季節は冬真っ盛り。
間もなく世界中の良い子達に神様からのプレゼントが届くクリスマスがやって来ます。
今年はいつもより早く準備を整えた口の悪いサンタ。
はやるトナカイ達を抑えつつクリスマスイブの夜を迎えました。
ソリの後ろの大きな白い袋にはイッパイのプレゼントが詰まっています。
タップリとした赤い上着の袖の中のワインももちろん忘れてはいません。
やがて出立の時間。
「ホォ、ホォ、ホォーー!」
あちらこちらのサンタのお家の前から威勢の良い声と共に、光の粒が夜のベールに包まれた地上へと向かって行きます。
「どれ、そろそろ俺様も行くとするか!
ホォ!ホォーー‼︎」
口の悪いサンタも高く声をあげ、鞭を振るいます。
ソリを引くトナカイ達は、待ってましたとばかりに光を撒き散らし、空を蹴り、首を振って飛び立ちます。
To Be Continued・・・・・・
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