waca-jhi's diary

笑いも涙も浄化には大きい力になるといいます。そしてカルチャーショックは気付きの第一歩、たとえ小さくても感動は行動への第一歩。

何に変身するのかは数カ月後のお楽しみ 9 (坂根龍我 作品 紹介№262 )

タイムライン(FB)のコメントにとても良い疑問と質問をいただきました!

これはタイムラインに投稿にてお応えしたいな!と。( ̄^ ̄)ゞ
プックリと盛り上げたところの金銀粉を研ぐのは勿体無いのでは?
また、そのまま仕上げれば抑揚がつき面白いのでは?
とのご質問がありました。
仰る通り!
我々造り手の説明不足!
お答えします。
我々蒔絵師が使用する金、銀粉、プラチナ粉や錫粉などは1度漆をコーティングして磨かなければ光らないものなんです。
 このページは彦根市の漆の工芸家、坂根龍我さんの
了解をいただき、F.B.投稿を紹介させていただいています
ぱっと見、金粉はきな粉のように、銀粉は何だか白い粉だなぁと。(危なくはない 笑)
またプラチナ粉に至っては、何だこの灰色の粉は!ってな具合に、まぁおよそ泥棒さんが見つけても盗まないだろうと思われる代物なんです。
ところが漆でコーティングして研ぎ、磨きをほどこすと、皆様ご存知のあの金銀の輝きに変わる訳なんですよ。
図を参照していただきたいのですが、蒔いた金銀粉の粒の間や隙間を漆が埋め、研ぐ事によって上の丸い部分が無くなり、みな一様に面と化して発色するんです。
ですから我々蒔絵師は弟子のころからずっと、漆を薄くムラ無く塗る事を強いられるんです。

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塗りにムラがあると、金銀粉がそれに従いムラにくっ付き、コーティングして磨いても凸凹になり、また凹み部分のコーティングは取れずに見た目非常に醜い仕上がりになってしまうんですね。
また、厚く塗られてしまったところは金銀粉を吸い込んでしまい、汚い色になってしまいます。
ま、技術の1つに漆で厚く描き、わざと金銀粉を沈み込ませて磨くという技法もあるのですが、
これはムラ無く一定の厚さに塗るという高等技術が必要になりますし、金銀粉が山ほど必要になってしまうかなり懐に厳しい技法です。笑
我々は盛り上げたいところは、あらかじめ肉盛りして研ぎをを入れ、
あの美しい塗り面と同じ肌を作り出してから一定の厚さに薄く塗り込み、金銀粉を蒔いて仕上げていくのです。
これで抑揚をつけ、尚且つ美しく仕上がるのです。
ここでちょっと蒔絵師と塗師屋の違いについてお話ししておきます。
蒔絵師は前述の通りムラ無く薄く塗りこむ事を強いられ、弟子の頃も現在も修行に、また精進している訳ですが塗師屋さんは、反対にある程度厚くポッテリと塗り上げる事を強いられるんです。
鏡面仕上げ(呂色しあげ)は塗り肌をかなり研いで平らにしますし、後の蒔絵師の作業で絵を磨いていて下の塗りが剥げては話しにならないですからね。
この厚くが難しい。
一定の厚さを超えると表面だけが乾こうとして、芯乾きせず、表面にシワがよったりします。(チヂミと呼びます)こうなるとどうしようもない。
経験と、漆、季節を読む力を要求されます。
最後に蒔絵師が研いだ金銀粉はどうなるのか?

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勿体無い!
そうなんです、捨ててしまっては大変勿体無い!
蒔絵師は金銀粉を磨いた綿や布、水研ぎで研いだ研ぎ汁まで残してました。
そして、その昔は年末近くになると道具屋が畳と一緒にそれらを買い取っていったのです。
畳にも金銀粉がこぼれていますからね。
それらを売ったお金で蒔絵師は仕事場の畳を新しくして新年を迎えたと言われています。
今はもうそんな事はなくなりましたが。(泣)
でも、磨いた綿や布、研ぎ汁などは残しておいて、金粉屋さんに頼めば金だけを取り出してくれたりはしてくれるはずです。
弟子の頃、師匠がやってました。
何年分かはわからなかったですが、結構な塊が取れて、1匁にかかる手間代だけを払って蒔絵用の金粉にして貰っていました。
以上、蒔絵の金銀粉にまつわるお話しでした!
【下手な図解で失礼しました。(ホントに絵を描いている人間なのか・・・(;^_^A
はたまた、ド下手な文字!誠にもって失礼致しました!(−_−;)】
                              
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