waca-jhi's diary

笑いも涙も浄化には大きい力になるといいます。そしてカルチャーショックは気付きの第一歩、たとえ小さくても感動は行動への第一歩。

〜口の悪いサンタ 9 〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№314 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第9話

 

母親は声をあげて泣き始めました。

父親は優しく母親を抱き締めて言いました。

「あの子はとても頑張ったじゃないか。

今年のクリスマスには僕は治るんだって言って、病気に負けまいと頑張ったじゃないか。

ね、もうゆっくり眠らせてあげよう。

そうだ!明日はクリスマスだ。

何かプレゼントを持って、あの子のお墓に行こうよ。

そして、2人であの子の思い出を語ろう。」

母親は一層強く泣き始めました。

(‼︎・・・ボウズの墓だとォ⁈・・・そんな・・そんな・・・なんてこった・・ボウズ・・死んじまったってのかよ⁉︎・・・・・・・・・。)

その後、口の悪いサンタはどうやって戻って来たか覚えていません。

気がつくとあの男の子の部屋で男の子のベッドに腰掛けて俯いていました。

身体も元の大きさに戻っています。

「俺ぁ、てっきりボウズの病気が治ったんだと思っていたぜ・・・。

医者が良い薬かなんかでよぉ・・・。

・・・可愛いボウズだったな・・目が大きくってよ・・髪なんか柔らかくてフワフワしてたな・・。

力の入らない手で・・・・・・一生懸命俺の腹にしがみついて・・・・笑ってたな・・・・・胸のハートのアザまで・・キレイでよ・・・・・・・・。」

口の悪いサンタの目からポタポタと大粒の涙が溢れては、薄っすらと汚れた床に落ちました。

「・・・何で、俺、泣いてるんだ・・?

たった1度会っただけのガキじゃねぇか・・・

ちきしょう!

・・・・あの時、俺がひねくれなければ良かったのかよ・・

神様に寿命の半分・・差し出してりゃ・・ボウズは元気でいたのかよ・・・・・・・。

そうだよなぁ・・・そうすりゃ良かったんだよなぁ・・・・・。

ボウズ・・本が読みてぇって言ってたよなぁ・・・

そんな小さな望みも・・・

俺はバカだ・・・・・・・・

ボウズに会いてぇなぁ・・・・・。

俺は・・・何てことしちまったんだ・・・・・。」

その時、窓辺からソリの鈴がシャンッと鳴りました。

窓に目を向けると、トナカイ達がソリを引いて口の悪いサンタを迎えに来ています。

トナカイ達は西の方角に向かい、しきりに首を振り脚を蹴っています。

「そうか、もうすぐ夜が明けちまうのか・・。

帰らなきゃな・・・・。」

口の悪いサンタは、涙を拭おうともせずノロノロとベッドから立ち上がり、窓からソリへと乗り込みました。

でも、あの勢いのある「ホォ、ホォーー!」という

掛け声はいつまでたっても聞こえません。

それどころか、目を閉じたままジッと何かを考えている様子です。

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 やがて走りたがっているトナカイ達がしびれを切らしそうになったころ、口の悪いサンタは目を開け真剣な瞳を天に向け言いました。

「トナカイ達よ!このまま真っすぐ神様の元へと急げ‼︎

風にも負けぬ勢いで駆け抜けろ‼︎

ホォホォ、ホォーーーー‼︎‼︎」

鞭の音がピシリッとうなると、トナカイ達はブルルッ!とひと声鳴き、全速力で走り始めました。

そして、口の悪いサンタを乗せたソリは、あっという間に天に吸い込まれていったのです。

輝く月を走り抜け、星を追い越し、光の粒を撒き散らしながらソリは風のように走ります。

口の悪いサンタの帽子は今にも飛ばされそう!

白い立派な髭は撫でつけられた様に風に押さえられています。

「ホォホォホォーー!

トナカイ達よ!もっとだ!もっと早く俺を神様の元へ届けてくれ‼︎」

やがてほんのりと明るく見える聖域が見えて来ました。

口の悪いサンタはソリのまま神様へと通じる門をくぐると、静かにソリを停め自分は飛び降りました。

そして大きな声で神様を呼んだのです。

「神様ーー!

神様ぁーーーー!

お願いです!どうか姿をみせて下さい!

そして俺の話しを聞いてください!」

To Be Continued・・・・・

                

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〜口の悪いサンタ 8 〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№313 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第8話

 

「さてと、ボウズの顔を見るのは1番後にしよう。

先に大事な用事を済ませちまおうぜ!

それ!ホォホォ、ホォーー!」

と言うと、口の悪いサンタはトナカイ達に鞭をふるい大急ぎで世界中の良い子達にプレゼントを配り終え、あの男の子の住む小さな可愛いお家へと向かいました。

1年ぶりに見る空からの景色です。

「あったあった!あの家だ!」

でも、ひとつだけ去年のクリスマスイブの晩と景色が違いました。

男の子の部屋の窓に、あのキャンドルの小さな灯りが灯っていません。

「おや・・・?

灯りがねぇぞ・・・。

ボウズ、寝ちまったのかな・・・」

サンタのソリは男の子のお家の可愛い屋根の上にとまりました。

「ホォ、ホォー。

じゃ、ちょいと行ってくるかな。

トナカイども、おとなしく待ってろよ。」

そう言うと、口の悪いサンタはトナカイ達の首を撫でてから煙突の中へと消えていきました。

「・・相変わらず狭ぇなぁ・・

おいおい、去年にも増して掃除してねぇな・・

こりゃぁ、流石に身体を小さくしなけりゃ真っ黒になっちまわぁ!」

やっと暖炉に抜けた口の悪いサンタ。

去年と同じように男の子のいた子供部屋へと向かいます。

そして、ブルーの可愛いドアを去年と同じようにそっと開けて中へと入りました。

「・・ぉぉ〜ぃ・・・」

口の悪いサンタは出来るだけ小さな声で呼びかけてみました。

「ボウズ、寝てるのか・・・?」

男の子の部屋はシンと静まり返って、物音ひとつ返っては来ません。

「・・・なんだ?

・・・ボウズいねぇのか・・?

起きて返事しろ〜・・・

俺様だぞ〜・・サンタが来たぞ〜・・・。」

相変わらず男の子の部屋は何の物音もしません。

それどころか部屋を暖かくした様子もありませんでした。

口の悪いサンタは、男の子が起き上がっていたベッドへと近づきました。

去年、男の子と一緒に飛び立った窓から、夜の薄青さに照らされて誰もいない男の子のベッドだけがそこにありました。

ベッドのお布団は綺麗にされていて、人が使った気配すらありません。

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「・・何だ?

誰もいねぇのかよ・・。

あのボウズどこ行っちまったんだよ・・。」

男の子がいたベッドの側のテーブルの上のキャンドルは、灯された様子も無くて硬く冷たくなっていました。

それにテーブルの上には薄っすらと白いホコリさえ見られたのです。

見ると、床の上にも薄く白いホコリが敷かれています。

そうです、男の子の部屋はもう長い事使われた様子が無いのです。

口の悪いサンタもさすがにおかしいと思い始めました。

「・・・おいおい、いったいどうなってんだ?

身体が治ったっていったって、まだ小さなガキだ。

長い事家を空けられる訳がねぇ・・。

何があったってんだ・・・。」

その時、階下の部屋から物音が聞こえました。

「‼︎ なんだ、ボウズ下の部屋にいたのか。」

少しホッとした口の悪いサンタは、階下へ降りて様子を伺う事にしました。

男の子の両親に見つからないように、そっと、そっと。

何と言ってもサンタは子供達のサンタクロースですからね。

大人に見つかる訳にはいかないのです。

物音のする部屋からは、男の人と女の人の話し声が聞こえてきました。

それはどうやら、あの男の子の両親だとわかりました。

部屋の扉が少し開いていて、中の様子を見る事が出来ます。

口の悪いサンタは、見つからないように慌てて身体を小さくしました。

でも男の子の姿はこの部屋にもありませんでした。

口の悪いサンタは、身体を小さくしたうえに尚も身をかがめるようにして2人の話し声に耳を傾けました。

見ると、母親の方は椅子に座り、テーブルに肘をつき手のひらは顔を覆っています。

泣いている事がうかがえました。

父親は自らも泣きそうなのを我慢して、母親の傍らに立ち母親を慰めるようにその肩に手を置いています。

「・・さぁ、もうそんなに泣いてばかりは良くない。

あの子だって喜ばないよ。」

「・・・だって、あなた・・・大切な大切な坊やだったんですもの・・・。

ああ、私の可愛い坊や・・・。」

(・・・だった?・・喜ばない?・・どういう事だ・・・?)

To Be Continued・・・・・

                

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〜口の悪いサンタ 7 〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№312 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第7話

 

自分の家に戻った口の悪いサンタ。

もう、部屋でワインを飲んでいます。

「参ったぜ・・。

神公のヤロウ、俺の寿命半分寄こせと来やがった。

・・あのガキを可哀想だと思わねぇ事はねぇ・・

けど、俺がそこまでする義理はねぇや。

・・気にならねぇ事も・・ねぇが・・

・・・ま、医者ってやつがいるんだから、何とかするだろう。」

そう言って、大イビキをかきながら眠ってしまいました。

さてサンタの仕事ですが、クリスマスイブにプレゼントを配り終えると、そこからもう来年のクリスマスに向けての仕事が始まります。

全世界から子供達のお礼のお手紙が届きますし、気の早い子供達からは夏の頃には次のプレゼントのお願いがサンタの元に届くからなのです。

サンタはそれを全て整理して、リストを作り、正しく望まれているプレゼントかどうかを判断するのです。

変更があった時はもちろん同じようにしなければなりません。

そして、そのリストを神様に届けるのです。

サンタはクリスマスイブの夜にだけ働くのではなくて、本当はとても忙しい仕事をしているのですよ。

口の悪いサンタも、怠け者ではありますがそれなりに忙しく、まぁ何とか仕事をしていました。

やがて雪が溶け、地上と同じように天の国にも花が咲き、草木が芽吹く春がやってきました。

「今日も結構お願いの手紙ってのがたくさん届いたなぁ。

あ〜ぁ、忙しくっていけねぇや。

ん?何だ・・可愛いパジャマが欲しいってか・・。

そういや、あのボウズのプレゼントも可愛いパジャマだったな・・。

ボウズ・・元気にしてるかな・・・。」

あれだけ神様に逆らった口の悪いサンタですが、あの男の子の事は、どこか気になっているようです。

そして、口の悪いサンタの思いもそのままに、あっという間に季節は巡り暑い夏が過ぎ、枯葉の舞う秋も深まってきました。

後、もうちょっとで白い冬がやってきます。

口の悪いサンタは最近少し元気がありません。

「神公のやろう・・あれから何にも言いやがらねぇ・・。

ボウズもお願いの手紙くらいよこせばいいのによ・・・。

そうすりゃ、神公だって少しは考えてくれるだろうに・・・・・。

これじゃ俺様の立場ってもんがねぇだろ・・・」

そこで口の悪いサンタは、ハッと考えつきました。

「・・そうか・・あのボウズ、病気が治ったんだな!

医者ってやつに治して貰ったんで、神公も何も言わねぇし、ボウズもお願いの手紙を書かなかったって訳だ!

神公のヤロウ、俺の寿命半分なんて言いやがって、

ザマミヤガレ!

言う言葉が無いもんで何も言えなかったんだ。

そりゃぁ1年も経つと病気だってさすがに治るわなぁ。

そうか、そういうことか!」

独り合点をした口の悪いサンタ。

今度はクリスマスが待ち遠しくなりました。

「よし!

今年のクリスマスイブの晩には、とりあえずボウズの顔を見に行ってやるか!

治ったって手紙くらい書けって文句も言いてぇしな!」

口の悪いサンタは文句と一緒に「どうだ!俺様が神様にお願いしてやったからなんだぞ!」と思い切り男の子に自慢してやろうと思ったのです。

秋の枯葉が雪に変わり、季節は冬真っ盛り。

間もなく世界中の良い子達に神様からのプレゼントが届くクリスマスがやって来ます。

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 今年はいつもより早く準備を整えた口の悪いサンタ。

はやるトナカイ達を抑えつつクリスマスイブの夜を迎えました。

ソリの後ろの大きな白い袋にはイッパイのプレゼントが詰まっています。

タップリとした赤い上着の袖の中のワインももちろん忘れてはいません。

やがて出立の時間。

「ホォ、ホォ、ホォーー!」

あちらこちらのサンタのお家の前から威勢の良い声と共に、光の粒が夜のベールに包まれた地上へと向かって行きます。

「どれ、そろそろ俺様も行くとするか!

ホォ!ホォーー‼︎」

口の悪いサンタも高く声をあげ、鞭を振るいます。

ソリを引くトナカイ達は、待ってましたとばかりに光を撒き散らし、空を蹴り、首を振って飛び立ちます。

To Be Continued・・・・・・

                

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〜口の悪いサンタ 6〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№311 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第6話

すると、口の悪いサンタの目の前に小さな光の玉がスッと現れ、

みるみる大きな眩い黄金色の光となり、その中に背が高くて白い衣をまとった優しげな男の人が現れました。

「・・・お前か・・相変わらず口が悪いな。

それで?お前がわたしに何の用だ?」

その人の声は静かなのに、世界に響き渡るような力強さがありました。

「神様!

実は地上で、1人のガキに会いまして・・。」

口の悪いサンタは地上で出逢った男の子の事を神様に話し始めました。

どんなに可愛いい子だったか、どんなに良い子にしていたか、そして病気になって辛い思いをしている事も、少し大袈裟にみんなみんな話しました。

さぁ、ここからが肝心なところです。

「それでね、そのボウズが言うには、次のクリスマスには元気な体が欲しい。

良い子にしてるから、元気な体をプレゼントして欲しいって事なんです。

何とかボウズの願いを聞き入れてやって下さい!

神様、お願いします。」

そう言って、口の悪いサンタは一応頭を下げました。

一応と言ったのは、頭は下げていても目は上目遣いに神様を見ていたからです。

「・・お前は本当に相変わらずだな。

まぁ良い。

その子供の事はよく知っている。

神である私が地上の全てを知らないはずはないだろう。

それで?お前はどうしてやりたいのだ?」

言われて口の悪いサンタは少し慌てました。

男の子の病気を自分がどうしてやりたいかとまで考えた事はなかったからです。

自分はただ男の子のお願いを神様に伝えに来て、神様に男の子を任せればいいとだけ思っていたのです。

「どうしてやりたいって・・そりゃぁ・・神様からボウズに元気な体を・・・そうすりゃ俺様だって来年は鼻高々だしよ・・。」

「そうか、鼻高々か。

しかしな、あの子どもの病いはなかなかに重い。

また、地上には地上の理りもある。

私が神であるからといって、そうやすやすと変える訳にはいかないのだ。」

「そいつぁ困るぜ!

俺ぁボウズに頼まれたんだ。」

口の悪いサンタは、困った顔で言いました。

男の子に神様に頼んでやると言ってしまった手前、出来ないとなると自分の立場がありません。

しばらく考えていた神様はゆっくりと口を開きました。

「ひとつだけ、あの子供の願いを叶えてやる方法がある。

ただし、お前がわたしの出す条件を聞き入れるのなら・・だが。

さて、どうする。」

「何だよ、出来るんじゃねぇかよ。

じゃ、さっさと頼むぜ。

で?条件てのは何だい?

酒を半年間止めるってのはカンベンだがな。」

神様の言葉を聞いた口の悪いサンタ、少し肩の力が抜けたように冗談まじりに応えました。

ところが、神様の出した条件とは思いも寄らないことだったのです。

「そんなことではない。

私の言う条件とは、サンタとしてあの子供に関わったお前の寿命の半分を私に差し出すということだ。」

神様の言葉に、口の悪いサンタはそれはもう驚きました。

「・・何だって‼︎

俺の寿命の半分を渡せってか⁈」

「そうだ。

そうすればあの子供の願いは叶う。」

「おいおいおい、冗談じゃねぇゾ!

たった1度会っただけの地上のガキのために、何で俺様の寿命の半分もやらなくちゃいけねぇんだよ!

よぉ、神様、おかしいじゃねぇか!」

口の悪いサンタの抗議に神様は何事も無いようにゆっくりと言いました。

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「私は冗談など言ってはいない。

複雑になり、私の介入もなかなか難しくなった地上の世界に、私は年に1度子供たちに私からの贈り物を届け、子供たちの笑顔を護れるようにとお前達をつくった。

お前が関わったその子供の願いを、お前の願いとするのに何の不都合があるというのだ。

まして精霊であるサンタの寿命は人より遥かに長い。

分けてやったところで何ということもあるまいに・・。

なぜそのように怒るのか。」

「あのなぁ神様よぉ!

いくらアンタがつくった俺様だとしてもだ!

俺のものは俺のものだろうが!

サンタであろうが無かろうが、俺様のものは俺様のものなんだ!

俺ぁ、アンタがサンタに仕立てたからプレゼントを地上に運ぶ仕事をしているだけなんだぜ!

簡単に自分のモノをヒトに分けてなんてやれるもんか!ましてや寿命だぜ!」

「・・・ほぉ、お前はそのような考えなのか。

私の意志とはまるで違うのだな。

しかし、お前はあの子供を自分のソリに乗せてやったではないか。

あの子供の体を思い遣り、自分の上着まで貸してやった。

それに、お前へという食べ物まで分け与えてやったではないか。

お前も嬉しく感じているのだと私は見ていた。

分け与えてやる喜びに何の違いがあるというのだ。」

自分が男の子にしてやった事を言われて、口の悪いサンタはなおさら怒ってしまいました。

「なんだぁ?ずっと見てたのかよ!

神様ってぇのは随分と悪趣味なんだな!」

「言ったではないか。

神である私にわからぬ事などない!と。

そのヒネクレた心さえおさめれば、お前は思い遣りのある優しいサンタだと私には見えるのだが・。」

「うるせぇ!

食い物と俺の寿命とを一緒にすんじゃねぇや!」

しばらく2人の間にこんなやり取りがあり、2人の意見は全く噛み合いませんでした。

やがて痺れを切らした口の悪いサンタ。

「もういいぜ!

これ以上話してもムダだから俺ぁ帰る!」

とソリに乗ると腹立たしげにトナカイに鞭を振るいました。

ソリは勢いよく神様のもとを離れて、元来た道を走り出します。

後ろで神様が言いました。

「サンタよ!

よく考えるのだ!

そのヒネクレた心をおさめるのだ!

そんな考えのままでは、あの子供は・・・。」

ソリが遠く離れてしまったので、口の悪いサンタに神様の最後のほうの言葉は届きませんでした。

To Be Continued・・・・・

                

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〜口の悪いサンタ 5〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№310 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第5話

 

「あぁ⁈

何だよ、まだ何か俺様に用があるってぇのかよ。

早く帰らねぇと夜が明けちまうじゃねぇかよ。」

口の悪いサンタはまた仏頂面に戻ってしまいました。

「・・あのね、サンタさん。

あの・・来年のプレゼント今からお願いって出来る・・・?」

言われてサンタは驚きました。

1年も前からプレゼントのお願いなんて、初めてのことでしたから。

気の早い子でも夏くらいのもので、普通どんな子でもみんな1年をかけて欲しいモノのお願いを考えるのです。

子供はみんな気が変わっていくものですからね。

「はぁ?何言ってんだオメェ。

1年もあるんだぜ。

欲しいモノが変わったらどうすんだよ。」

「ううん、僕は変わらないよ!」

「変わらねぇって・・ボウズ・・いったい何が欲しいってんだ?」

男の子の真剣な声に、口の悪いサンタは帰るのをやめて男の子に向き直って訊ねました。

「・・・僕ね・・僕・・元気な体が欲しいんだ!」

「・・え?・・何だって⁈・・・元気な体だとぉ?」

「うん、病気じゃない元気な体が欲しい!

僕が病気じゃなくなったら、ママは泣かずにいられるし、パパも無理して遅くまで働かなくてもよくなる。

それに、大きくなったらうんと働いて、パパやママを助けられる。

何より僕、歩けるようになって・・走りたい!

手がちゃんと動くようになったら、本を読みたい。

いつまでも本を持つことが出来るでしょ、僕本が大好きなんだ。」

はてさて、男の子の欲しいプレゼントは形のあるものではありませんでした。

これにはさすがに口の悪いサンタも困ってしまいました。

「・・・う〜ん、健康が欲しいって事かよ・・

そいつぁ大変だ・・・。

ボウズ・・それが出来るのは俺たちじゃねぇんだ・・。

俺たちゃ精霊だが、神様じゃねぇ・・。

確かにオメェの親の言う通りだ。

そいつを決められるのは、神様だけだ・・。」

男の子は言いました。

「ね、サンタさん!

それなら神様に頼んでもらえない?

お願い!

僕、良い子にするから!

ずっとずっと良い子にするから!

ね!お願い!

お願いだから、神様に頼んでよ。」

男の子は一生懸命口の悪いサンタにお願いをしました。

「・・神様かぁ・・神公なぁ・・俺ぁあんまりあいつにゃ会いたかねぇんだがなぁ・・・

・・・でも、ま、ボウズのたっての願いだ・・。

わかったぜ!頼むだけは頼んでみてやらぁ!」

「本当⁈

ホントに⁈

ホントに頼んでくれるの⁈

ありがとう!

ありがとうサンタさん!

僕、良い子にしてるからね、ずっとずっと良い子にしてるから!

約束だよ!」

「あぁ、わかったわかった!

約束だ。

天の国に帰ったら神公に会って頼んでやらぁ!」

口の悪いサンタは男の子にそう言うと、窓を出てソリに乗り込みました。

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「じゃぁな、ボウズ。

来年まで達者で暮らせよ!」

そしてまた

「ホォ、ホォーー!」と鞭を振るい、天の国へと帰って行きました。

男の子は、サンタのソリが光を撒き散らし空高く吸い込まれて見えなくなるまで嬉しそうに窓から見送っていました。

空は薄っすらと明け始めています。

「やれやれ、厄介な事に首を突っ込んじまったなぁ・・・。」

天の国に戻った口の悪いサンタ。

トナカイ達に労いのご馳走をやりながら、ため息混じりに独り言です。

トナカイ達はもっと欲しいと首を振り振り催促します。

「今日はクリスマスだから特別なんだからな、有り難く食うんだぜ!」

そう言いながら立派なキノコをたくさんトナカイ達の餌樽に入れてやりました。

「・・やっぱり・・行かなきゃいけねぇよなぁ・・

神公・・口うるせーし、小難しい事ばかり言いやがる。

・・・俺ぁかなわねぇんだよなぁ・・・・・

でもなぁ・・・約束しちまったもんなぁ・・・

おし!酒かっ喰らう前にちょいと行って来るか!

ま、頼んでやるだけの事だからな。

メンドーな事は早く済ましちまうに限る!」

そう独り言を言って、口の悪いサンタはまた上着を羽織り、今度は小さなソリを一頭のトナカイだけに引かせて神様のところへと出かけて行きました。

やがて、神様へと通じる門をくぐり抜け、ソリから降りた口の悪いサンタ、大声で神様を呼びました。

「おおーーい!

神様よぉー!

俺様が来たぜーー!

顔見せてくれや!

地上のガキの願い事持って来てやったぜー!

おおおーーーーい!!」

To Be Continued・・・・・・

                

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〜 口の悪いサンタ 4 〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№309 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第4話

男の子の顔はさっきまでとはまるで別人のように微笑みに溢れ輝いています。

「ホォッ!ホォォーー‼︎」

鞭を振るい、ひと声高くあげたサンタの声にトナカイ達は勇ましく空を蹴り、2人を乗せたソリは光の粒を一層たくさん撒き散らしながら高く夜空へと飛び立ちました。

「凄いや!僕、お空を飛んでる!

お星様はこんなにキラキラしてるんだ!

お月様はこんなに明るいんだ!

風って気持ちいいものなんだね!

夜って暗くて怖いのかと思ってた。

違うんだね、蒼くてとっても綺麗だ!

街があんなに小さく見えるよ!

お家がまるでお砂糖で出来たお菓子のよう!」

男の子の淡い栗色の髪が風になびいて、さながらサンタに抱かれた天使のように見えました。

「ハッハッハァ!

そうだぞボウズ、俺たちの周りは美しいものでイッパイ囲まれているんだ。

よぉ〜く覚えておくんだな。」

「うん!ありがとう!」

サンタのソリは特別のソリ。

サンタのトナカイは特別のトナカイ。

さぁ!

2人を乗せたソリは、ひとっ飛びで世界を駆け巡ります。

空の色は深い藍色から漆黒の闇を見せたかと思うと、明るく透明なブルーから優しい橙色まで、様々に表情を変えて男の子を楽しませてくれました。

そしてインドや日本、フランスやオランダ、色んな国をそれこそあっという間に走ります。

男の子の目を丸くしたり、輝かせたりする世界の何と荘厳で美しい事か。

白くて丸い屋根の不思議な寺院。

四角くて隅に大きな魚が尻尾を立てているお城。

凱旋門や風車。

高みから見る、野に咲く小さな花にも男の子は喜び、口の悪いサンタもいつもの仏頂面を、どこかに忘れて来たかのように男の子と一緒に笑っています。

途中、口の悪いサンタは何度も様々なお家の屋根に止まっては、ソリの後ろに乗せた白い大きな袋からプレゼントを取り出して、大きな煙突、小さな煙突へと入っていきました。

煙突のないお家では、何かの呪文を唱えるとスッと扉を開けて入って行きます。


その度に1人残された男の子は、口の悪いサンタがまた見つかるんじゃないかとハラハラしながら帰りを待ちます。
男の子を1人にする時、口の悪いサンタは必ず自分の上着を脱いで男の子を包む事を忘れませんでした。

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やがて、親指を立て、ニヤリと片目をつぶった口の悪いサンタが帰って来ると男の子は嬉しそうにサンタの大きなお腹に抱きつく様に身を寄せました。

時にはサンタがワインやターキーの肉を持って帰ってくることもあったのです。

そんな時男の子は、少し不安そうに訊ねました。

「・・あの・・盗んだんじゃないよね・・?」

「バカ言うんじゃねぇよ!

これはな、サンタさんへプレゼントです。って書いて置いてあったモンだ!

貰ってやらなきゃ可哀想じゃねぇかよ。

ほらよ、齧り付いて食いな!

たまぁ〜にこんないい事もある。」

言いながら口の悪いサンタは美味しそうにワインを飲んだのでした。

男の子はお行儀の良くない食べ方が嬉しくて楽しくて、たくさんかぶりつきました。

それでも病気だったので、普通から見ればほんの少しの量だったけれど。

男の子が世界に驚き、口の悪いサンタと楽しく過ごしている間に、プレゼントを入れた袋はだんだんと空になっていきました。

そしていつしかソリは、男の子の住む国へと戻って行ったのです。

地平線の彼方、遥か遠い場所が微かに薄っすらと白くなって来ました。

「さてボウズ、そろそろオメェの部屋へ戻るぜ!

後、数時間で夜が明けちまわぁ。」

口の悪いサンタはそう言うと、鞭を振り大急ぎで男の子の部屋の窓辺とむかいました。

そして、飛び立つ時と同じように男の子をかばいながらベッドへと運びました。

「ボウズ、今夜のことは誰にも内緒だぜ。

さ、早く寝な。

もうクリスマスだ。」

「うん、ありがとうサンタさん!

僕、とっても楽しかった!

何よりも何よりも嬉しかった!」

今の男の子の頬はほんのりと赤みがさして、とても病気のようには見えませんでした。

「あぁ、俺も・・・まぁ、楽しかったぜ・・。

じゃあなボウズ!」

口の悪いサンタは少し照れたように言って、帰ろうとしました。

「あ、あの、サンタさん!」

男の子は何かを思いついたように、慌てて口の悪いサンタを呼び止めます。

To Be Continued・・・・・・

                

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〜口の悪いサンタ 3〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№308 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第3話

言われて男の子はゆっくり、ソロリソロリと手を差し伸べました。

でも、その手は口の悪いサンタの白いワサワサとした立派な髭に触れることはありませんでした。

男の子の手は途中でハタリとベッドのお布団の上に落ちてしまったのです。

「・・・何だボウズ、どうした。触らなくてもいいのか?」

「・・・ううん、そうじゃないんだ・・僕の手、さっき位までしかあげられないし・・あれ以上あげていられないの・・・」

「何だそりゃ?

どういう事なんだ?」

男の子はゆっくりと話し始めました。

「僕ね、病気になっちゃったの。

それでね、去年は歩けなくなって・・・

今はもう手も動かし辛いんだ・・」

「ほう、病気か、そいつぁ大変だな。

で、いつ治るんだ?」

精霊であるサンタに病気はありませんから、口の悪いサンタには男の子の言う病気の事がよくわかりません。

「・・・お医者さんにも診て貰ってるんだけど・・たぶん、もう治らないと思う・・。」

「ボウズ、そりゃおかしいだろ。

治るように医者ってやつに診て貰ってるわけだろ?

なら治るだろう。」

「・・昨日、パパとママが話してるのを僕聞いちゃったんだ・・

僕を治せるのは、もう神様くらいのもんだって・・・。

ママ・・泣いてた・・。」

そう言うと男の子は、元気なく下を向いてしまいました。

大きな目にいっぱいの涙が溢れています。

男の子の顔を覗き込んで、口の悪いサンタは慌てました。

「お、おいおい、泣くんじゃねぇよぉ・・

参ったなぁ・・イブの晩だぜ・・。」

「・・ごめんなさい・・

でも、僕の病気は・・だんだん悪くなっていって、いつか僕は・・。

僕、こわい・・・。」

口の悪いサンタは、何だかこの男の子が少し可哀想に思えてきました。

そして、この子に何かしてやれる事はないだろうかと考え始めました。

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 怠け者で口の悪いサンタの心の何かがほんの少しだけ変わろうとしています。

「・・なぁ、ボウズ。

オメェそれじゃ外で遊んだりしてねぇのか?」

「うん・・僕もう歩けないし、お外の空気は僕の体には悪いらしいからダメだって・・・もう長い事お外には行ってない・・。」

「・・・そうか・・・・・・・・。

‼︎・・!、なぁボウズ、ならこれから俺様と一緒にソリに乗ってみねぇか?

空から、広い外の世界ってのをオメェに見せてやらぁ!

どうだ?」

男の子は、ハッと顔をあげ、不自由な手で涙を拭きながら口の悪いサンタを見上げました。

「本当に⁈

本当にサンタさんと一緒にソリに乗れるの⁈

僕を連れてってくれるの⁈

本当に⁈」

男の子の濡れた瞳は思わぬ喜びと期待にキラキラと輝いています。

「ああ!本当さ!

俺はウソは言わねぇ。サンタに2言はねぇ!」

「あ、でもお外は寒いんだよね。

僕、いつもベッドだから今パジャマしか着てない・・。」

「心配するな。

俺様のこの服に包まれていれば、暖炉の前にいるより暖かい。」

口の悪いサンタはそう言うと、男の子を軽々と抱き上げて自分の服に包みました。

「本当だぁ、あったかいや。

足の先まで、手の指の先まであったかい!

とてもとてもあったかいや!」

「さてと、オメェを連れて煙突から出るわけにはいかねぇからな。

この窓にソリを呼ぶか。」

口の悪いサンタは男の子のベッドの頭の方にある窓を開け、小さく ホォホォーと呼びました。

屋根で鈴の音がシャンッと1度鳴ったかと思うと、光の粒を撒き散らしたソリがトナカイ達にに引かれて、音もなく窓辺にそっと横付けされました。

トナカイ達は早く走りたくて、しきりと首を動かし、もどかしげに脚を蹴っています。

その度に光の粒がキラキラと散っています。

口の悪いサンタはかばうように男の子を包みながら、ソリに乗り込みました。

そしてトナカイ達の手綱を引くと言いました。

「ボウズ、行くぞ!」

「うん!」

To Be Continued・・・・・・・

                

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〜口の悪いサンタ 2〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№307 )

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本 第2話

2階に上がるとその部屋はすぐにわかりました。

淡いブルーに塗られた扉がとても可愛くて、さすがに口の悪いサンタも少し微笑んでしまうくらいでしたから。

「さて、と。

ここからが1番用心しなくちゃいけねぇ。」

口の悪いサンタは中をうかがうように、静かにそっと扉を開けました。

そして、プレゼントを抱えて中に入ります。

扉のすぐ近くにツリーが飾ってありました。

さて、そのツリーの下にプレゼントをそっと、そっと・・気づかれないように、そっと・・・・。

「・・・サ・ン・タ・・さん・・?」

部屋の奥、小さなキャンドルの灯る窓の方から、小さな可愛い声が聞こえました。

「‼︎‼︎‼︎‼︎ ・・・・あ・・・・・?」

プレゼントを、置こうとしていた口の悪いサンタは、訝しげに訊ねる可愛い声の方に目を向けました。

夜の蒼さが窓から入り込み、ベッドを照らしています。

そのベッドに小さな影がチョコンと座って、口の悪いサンタを見つめているようです。

「・・・サンタ・・さん、なの?」

小さな影の座るベッドの隣には小さな机があり、その上にこれも小さなキャンドルが小さな灯りを灯しています。

その小さな灯りに照らされて、影はどうやら男の子だと知る事が出来ました。

口の悪いサンタが空から見た灯りは、どうやらこの男の子が灯していたキャンドルだったようです。

「・・チッ・・俺様とした事が・・見つかっちまったか・・。」

そして口の悪いサンタは言いました。

「おお!そうよ!

俺様が正真正銘のサンタクロースよ!

ボウズがいい子にしてたからよ、プレゼント運んで来てやったんだ。

ま、感謝して受け取るんだな!」

ベッドの上の幼い影はビクンと驚いたような様子を見せ、そして言いました。

「サンタさんだ!本物のサンタさんなんだ!

本当に僕の所に来てくれたんだね!」

男の子の影は続けて言いました。

「・・ね、サンタさん。

お願いきいてくれる?」

口の悪いサンタは言いました。

「あん?

オメェの願いをきいてやったから、こうしてわざわざプレゼントを運んでだな・・」

「違うの。

今なの。

今、サンタさんのお顔が見たいの。

お願い、僕のところに来てお顔みせて。」

「そんなのオメェがこっち来りゃいいじゃねぇか!

何で俺様からボウズに顔見せに行かなきゃならねーんだよ!」

どこまでも偉そうな口の悪いサンタです。

「・・・ごめんなさい・・。

でも、僕、あんまり動けないんだ。

うまくそっちに行けないんだ。

・・・だから・・・・・・ごめんなさい・・」

可愛い声はだんだん小さくなってしまいました。

「・・・何だよ、動けねぇって・・。

ま、いいや!

どうせ見つかっちまったんだからな。

今、そっち行ってやらぁ。」

見つかってしまった口の悪いサンタは、もう大威張りでノシノシと、男の子に近づきました。

キャンドルの灯りに照らされた男の子はまだ小さくてとても華奢な体つきをしていました。

そして少しはだけたパジャマの左の胸元からは薄赤いハート型が見えていました。

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「なんだボウズ、その胸の赤いやつは?

なんか描いたのか?まじないか?」

遠慮のないサンタの質問に、男の子は慌てて言いました。

「違うよ!

これは産まれた時からついてるんだ。

・・・アザだってママが言ってた・・・。」

「ほう、そうかい。

そいつぁ、失礼したな。

でも・・ま、キレイなハートだ。

うん、キレイなアザだ。」

「でしょ!

ちょうど僕の心臓の上なんだって。

だから僕は恵まれているんだってパパが言ってたんだけど・・・だけど・・・。」


男の子が話している間にすぐそばに近づいた口の悪いサンタは、男の子の顔の前にヌッと自分の顔を突き出して言いました。

「ほらよ!これが俺様だ。よぉ〜く見ておきな。

正真正銘のサンタクロースの顔だぜ!」

「・・本当だ・・

白いお髭もホントにあるんだね!」

「おぅよ!

触ってもいいんだぜ、特別に許してやらぁ。」

To Be Continued・・・・

                

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〜口の悪いサンタ〜 RyuGaの絵の無い絵本 (坂根龍我 作品 紹介№306 )

え〜、今までたまぁ〜に弟子の頃や幼い頃の話など
投稿させていただいておりましたが、ちょいと物語を書いてみました。
構想は10年以上前になるのですが、最近少し時間の空いた時に
わずかづつ書いて残してました。

あまりの才能の無さに少々凹んでおりますが・・
クリスマスにまつわるお話です。

よろしければお付き合い下さいませ。

クリスマスキャロル
〜口の悪いサンタ〜

RyuGaの絵の無い絵本

夜の空気に、吐く息が白くなってきました。

やがて天から真っ白な冷たい花のような雪が降って来て、良い子達が楽しみにしているクリスマスがやってきます。

皆さんはサンタさんが何人いるか知っていますか?

実はサンタさんはイッパイいるんです。

もちろん最初は1人でした。

でも、クリスマスを祝うことが世界中に広まって、とても1人のサンタさんだけでは良い子達にプレゼントを配りきれなくなったんです。

これは困った!とお考えになった神様は、クリスマスが世界に広がるごとにサンタさんになる精霊を増やしていかれたのですよ。

それに、内緒ですが、精霊であるサンタさんにも人間と同じように寿命があるんです。

サンタの寿命を全うしたサンタさんは、さてどうなるのでしょう。

たくさんいるサンタさんなので、中には少々変わった性格のサンタさんも生まれるわけで、簡単に言うとあまり出来の良くないとでも言うのでしょうか。

これからするお話しは、そんな少し変わったサンタさんのお話しです。

さてさて、もうすぐ天の国では大忙しになります。

それぞれのサンタの家でも。皆準備に追われて大変です。

そのサンタは天の国の外れに住んでいました。

怠け者でとても口の悪いサンタでした。

「なぁにをそんなに急いやがるんだ。

まだまだ時間はあるじゃねーかよ。

ま、俺はゆっくり酒でも飲みながらやるさね」

とこんな具合。

困ったサンタです。

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 それでもクリスマスイブの夜には、この口の悪いサンタも何とか準備を整え、たくさんのサンタさんと同じようにソリに乗ってトナカイを走らせ下界へと飛び立ちました。

「あ〜、やれやれと。

どの辺りから廻ってみようかな。

先ずはイッパイ。」

口の悪いサンタはそう言うと、真っ赤なタップリとした服の袖から1本のワインを取り出して、グイグイと飲みました。

「かぁー!うめぇ!

やっぱこの景気付けがねぇとクリスマスになんて働けねぇ!」

イブの夜はとっぷりと更けて、街の家々子供部屋の灯りも落ち、あたりは深い静寂(しじま)が広がっていました。

そんな中、1軒の可愛いお家の2階の窓口に小さな灯りがチラチラと揺れているのが見えました。

「あん?なんだ?良い子はみんな寝てる時間じゃねぇのかよ。

ま、しかし・・なんだな、起きてるトコロへそっと入って行って、見つからないってのがサンタのウデの見せ所ってやつだな。

今夜はあの家からやってやるか!」

そう言うと口の悪いサンタは、トナカイ達の手綱を引き、可愛いお家の屋根にソリをそっと停めました。

そしてソリから降りた口の悪いサンタ、後ろに乗せてある、良い子達に贈るプレゼントがいっぱい詰まった白い大きな袋を覗き込みました。

「え〜と、ここのガキのプレゼントは・・と。

可愛いパジャマ・・よし!これだな。

それじゃトナカイ達、行ってくらぁ。

おとなしく待ってるんだぜ。」

トナカイ達は首を振り振り、おとなしく待っています。

「ちぃせぇ家にちぃせぇ煙突だなぁ。

俺、入れるかな。

ま、何とかなるか!

ホイッ!」

サンタは精霊なので体の大きさは自由にかえられます。

でも、口の悪いサンタはその力を使うのが面倒臭いのです。

文句を言いながら煙突を下りて行きます。

「・・・もう少し掃除くらいしろよな・・・。

これじゃ、俺様の上着が汚れるじゃねぇかよ。」

それでも何とか火のない暖炉に抜けた口の悪いサンタ、上着に着いたススをポンポンと手で払いながら子供部屋を目指します。

子供部屋は2階にあるようでした。

口の悪いサンタは音をたてないように、とても注意深く階段を上がって行きました。

さっきも言いましたが、サンタは精霊なので小さくなったり姿を消して行動する事も出来るのですが、この口の悪いサンタに到っては「見つかるか見つかんねぇかのスリルがたまらねぇ!」という事らしいのです。

to be continued・・・・・

                

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病気になりやすい人、治りにくい人

脳には知性を司る「大脳新皮質」と

感情を司る「大脳旧脂質」があります。

これらの指令を受けるのが「間脳」いわゆる自律神経です。

心(旧脂質)が「休みたいなぁ」と思います。

しかし、頭(新脂質)がもっと「いや、もっと頑張らなければ」と思います。

こうなると、間脳(自律神経)は全く反対の指示を同時に受けるのです。

すると同然、間脳は混乱し、血流を上げればいいの?いや鎮めればいいのか?

体温を上げればいいのか、下げればいいのか・・・

交感神経優位にすればいいの?いや逆なの?ってなります。

病気になりやすい人は、知性の新皮質が勝ってしまいます。

「頑張っている人が偉い」みたいな教育を受けて競争ばかりさせられてきたからですね。

すると、感情の旧脂質を無視し、頑張り続けようとします。

このような状態が継続的に続くと

抑えられていた心と頑張り続けてきた体が狂い始めます。

それが病気に繋がるのです。

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病気になって治す上でも同じことが言えます。

食生活や生活習慣を見直して、病気を治そうとします。

しかし、これも心が食べたいと思うものを我慢し

やりたいと思っていることも我慢し

苦しいと思う治療を受けたり

それでは、病気になった原因と同じことをしているに過ぎないのです。

心を抑えて、体を無理やり動かしているのは発病の原因と同じことです。

ですから「治すことを目標にしないでください」と私は常に言います。

なぜなら、治すための事は辛いことが多いからです。

大好きなラーメンも食べられないし、毎日食べていたスナック菓子も食べられない

ケーキもダメ、暴飲暴食もダメ、ダメダメダメ・・・ってなると

この記事は「病気」ではなく「健康」の観点で読むためにFBページ
難病克服支援センターさんの了解の上、記事を転載しています。

 心(旧脂質)は我慢しっぱなし、自律神経(間脳)は混乱しっぱなしになります。

ですから、治った後に目標を置いて欲しいんです。

治ったら何をしたいか、どんな自分で再スタートするか

将来の目標のためなら、我慢や辛いことはプラスの感情に転じます。

辛い我慢も目標をクリアするための事に置き換わるので、気持ちが積極的になります。

同じ事をするにも、我慢というマイナス感情で行うか、目標に向かうプラス感情で行えるか

この違いが「治りやすい人」と「治りにくい人」の違いなんです。

 ご息女が五歳の時に筋ジストロフィーと診断され五年後には寝たきりになるとの宣告を受け、一時は悪化していたものが「小さな光を追いかけ続けた結果約四年で血液検査も正常に戻り、自力で立て、走れ、自転車に乗れるまで回復・・」との体験をもとに、難病克服支援センターを運営していらっしゃいます。

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